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2006年 11月 19日

けんちく世界をめぐる金融のはなし

c0010853_1615287.jpg「けんちく世界をめぐる10の冒険」
伊藤豊雄さんの一般の人にも分かるけんちく本。
建築ではなく”けんちく”としているところがかわいらしい。ジャケもかわいらしい。
内容もかなり読み易く、最近のプロジェクトについてざっと把握する事ができます。しかも超短時間で。(僕は1日の通勤の電車でだいたい読めました。)
だが一般の人が読んで分かるかと言うと?なかんじ。

そのなかにハッとする内容がありました。

施主やデベロッパーが建築家にデザインを依頼することで建築設計の仕事は発生するのだけれども、出来上がった建物が証券化し、そのデザイン性ゆえに高値で取引されているという事について伊藤さんはびっくりされたそうです。
もうすこし噛み砕くと、最近は建物の所有と利用を別々に考えることが多く、施主は建物の使用権を維持したまま建築を売っている。建築家の建物を商品として利用しているケースがあるということ。でも建築家は施主のため、社会のモラルのために設計している訳であって。。。という矛盾が生じている事。

ぼくら企画の人間は物件の企画を立てるときに、事業収支を組む訳だけれども、建物をファンドに売却するというスキームを取り入れている。別に、建築家のデザインを売り物にしようとしている訳ではないが、むしろ企業体力のない会社で良いモノを、都市を豊かにするものをつくって運営していこうとするには、このスキームが無いと成立しなかったりする。

このことは建築家の側に立つと「ふざけるな」と言う事になるかもしれない。(まだそういう声は聞かないが。)というか、もしかしたら建築設計者は金融のしくみについてまだ、あまり理解されていないのかもしれない。

ファンドによる売却益を多少、建築家に分けられないだろうか?(もしくはそれを見越して設計費を数%多くする。)そうすべきだとおもった。
日本の建築設計に対するフィーはその労働の過酷さに比べて非常に少ない。そんな現状も、ファンドの仕組みをみんなで共有し、理解すれば、打開できてもう少し設計者にお金が行くのではないか?施主やデベだけが開発益をいただくのはたしかにおかしい。(建築家のデザインの付加価値分も利益を得ているわけだから。)
少なくとも自分が抱える物件では頑張ってみたいとおもう。

ついでに、建築家がファンドのスキームを取り入れながら、自分の設計の仕事を生み出していくスタイルの設計事務所が近い将来登場してくるとおもしろい。新しい建築家像として。
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by ktj518 | 2006-11-19 16:34 | book


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